憲法を守ろう
2004年6月10日にノーベル賞作家の大江健三郎氏らが呼びかけ、「九条の会」が発足しました。今、憲法を変えようとする動きがあり、中でも「戦争の放棄」をうたった9条が標的になっているからです。会は、アピールで、「『改憲』のくわだてを阻むため、一人ひとりができる、あらゆる努力を、いますぐ始めることを訴え」ています。
私は、これにこたえるとともに、もう少し大きい意味でもあらためて「憲法を守ろう」と訴えます。世界に誇る9条はもちろんですが、私たちの憲法には多くの大切なことが書かれています。問題なのは、その憲法が守られていないことがあまりにも多いということなのです。9条に反して自衛隊が存在することは象徴的ですが、「思想及び良心の自由」などの人権は、侵されつづけていると言っても良いでしょう。憲法をよく知り、行政などにこれを守らせることが重要だと思うのです。
私は、この「ケータイ憲法」により、若者をはじめ多くの人たちが「いつでも憲法と一緒」「憲法なら知っている」という状況を作り出せないかと思っています。このサイトの存在を多くの人にお知らせいただきますようお願いします。
(2005年2月 藤岡誠)
THE CONSTITUTION OF JAPAN
CHAPTER II: RENUNCIATION OF WAR
Article 9:
1)Aspiring sincerely to an international peace based on justice and order, the Japanese people forever renounce war as a sovereign right of the nation and the threat or use of force as means of settling international disputes.
2)In order to accomplish the aim of the preceding paragraph, land, sea, and air forces, as well as other war potential, will never be maintained. The right of belligerency of the state will not be recognized.
あたらしい憲法のはなし
「日本国憲法」公布の翌年に文部省が作った中学1年用の社会科の教科書です。
六 戦争の放棄
みなさんの中には、今度の戦争に、おとうさんやにいさんを送りだされた人も多いでしょう。ごぶじにおかえりになったでしょうか。それともとうとうおかえりにならなかったでしょうか。また、くうしゅうで、家やうちの人を、なくされた人も多いでしょう。いまやっと戦争はおわりました。二度とこんなおそろしい、かなしい思いをしたくないと思いませんか。こんな戦争をして、日本の国はどんな利益があったでしょうか。何もありません。ただ、おそろしい、かなしいことが、たくさんおこっただけではありませんか。戦争は人間をほろぼすことです。世の中のよいものをこわすことです。だから、こんどの戦争をしかけた国には、大きな責任があるといわなければなりません。このまえの世界戦争のあとでも、もう戦争は二度とやるまいと、多くの国々ではいろいろ考えましたが、またこんな大戦争をおこしてしまったのは、まことに残念なことではありませんか。
そこでこんどの憲法では、日本の国が、けっして二度と戦争をしないように、二つのことをきめました。その一つは、兵隊も軍艦も飛行機も、およそ戦争をするためのものは、いっさいもたないということです。これからさき日本には、陸軍も海軍も空軍もないのです。これを戦力の放棄といいます。「放棄」とは、「すててしまう」ということです。しかしみなさんは、けっして心ぼそく思うことはありません。日本は正しいことを、ほかの国よりさきに行ったのです。世の中に、正しいことぐらい強いものはありません。
もう一つは、よその国と争いごとがおこったとき、けっして戦争によって、相手をまかして、じぶんのいいぶんをとそうとしないということをきめたのです。おだやかにそうだんをして、きまりをつけようというのです。なぜならば、いくさをしかけることは、けっきょく、じぶんの国をほろぼすようなはめになるからです。また、戦争とまでゆかずとも、国の力で、相手をおどすようなことは、いっさいしないことにきめたのです。これを戦争の放棄というのです。そうしてよその国となかよくして、世界中の国が、よい友だちになってくれるようにすれば、日本の国は、さかえてゆけるのです。
みなさん、あのおそろしい戦争が、二度と起こらないように、また戦争を二度とおこさないようにいたしましょう。